金属への印字は、製品番号やロゴ、管理情報などを正確に刻むために欠かせない工程です。近年は、レーザーを使った非接触の刻印技術が主流となり、より美しく精密な仕上がりが求められています。本記事では、金属印字の基本4タイプを紹介し、それぞれの特徴や違い、さらに金属の種類に合わせた最適な刻印方法について解説します。
金属印字の基本4タイプ|仕上がりの違いと特徴
金属への印字は、製品番号やロゴ、管理コードなどを表示するために欠かせない加工です。印字の方法によって、仕上がりの色味や質感、耐久性が大きく変わります。以下では、レーザーを用いた代表的な金属印字の種類を4つ紹介し、それぞれの仕組みと特徴を解説します。黒色(酸化)印字の特徴
黒色印字は、レーザー光を金属に直接当てるのではなく、焦点をわずかにずらして熱だけを伝える方法です。この熱によって金属表面に酸化膜ができ、膜が黒く見えることで印字が浮かび上がります。削らずに加工できるため、素材へのダメージが少なく、なめらかな表面を保てるのが特徴です。主にステンレスなどの表面を美しく保ちたい用途で多く使われています。
白色(削り)印字の特徴
白色印字は、レーザーを焦点位置で照射して金属表面を細かく削る方法です。削られた部分に微細な凹凸ができ、光を乱反射させることで白っぽく見える印字ができます。はっきりとしたコントラストを出したいときに向いており、アルミなど明るい金属によく使われます。表面を軽く削るだけなので、仕上がりもきれいで視認性に優れています。
彫り込み印字の特徴
彫り込み印字は、レーザーを繰り返し照射して金属を深く削り込む方法です。照射回数を増やすほど刻印が深くなり、摩耗や経年変化に強い印字ができます。工業製品のシリアルナンバーや型番、工具類など、長期間にわたって読み取れることが求められる場面で多く採用されています。立体的な仕上がりが特徴で、耐久性を重視する用途に最適です。
表面層剥離による印字の特徴
表面層剥離印字は、塗装やメッキなど金属の表面コーティングをレーザーで除去し、下地の金属を露出させて印字を浮かび上がらせる方法です。素材そのものを削るわけではないため、加工スピードが速く、塗装製品やメッキ部品へのマーキングに適しています。カラーコントラストがはっきり出るので、視認性の高い印字が可能です。
精密・高品質な加工技術を知ろう
金属加工は、製品の形をつくったり、部品を組み立てたりするうえで欠かせない工程です。近年では、レーザーを用いた非接触の加工技術が広がり、より高精度でスピーディーな加工が可能になっています。以下では、それぞれの特徴やメリットを解説します。カット加工|変形を抑えた高精度な切断
カット加工は、レーザー光を集めて金属に照射し、熱によって溶かして切断する方法です。刃物を使わないため、対象物に直接力が加わらず、変形やひび割れを防ぐことができます。さらに、細かな部分にも照射できるため、通常の工具では難しい箇所の切断や微細な穴あけも可能です。高精度な仕上がりを求められる精密機器や電子部品の加工に多く用いられています。
ハンダバリア加工|効率的な表面処理技術
ハンダバリア(ニッケルバリア)は、コネクタ端子などでハンダの吸い上がりを防ぐために行う表面処理です。従来はメッキ処理を行わない部分をマスキングしていましたが、その工程には手間とコストがかかっていました。そこで有効なのがレーザーによる表面層の剥離です。不要な部分だけを的確に処理できるため、作業効率が大幅に向上し、精度も安定します。
溶接加工|歪みを抑えて強固に接合
レーザー溶接は、レーザー光を金属の接合部に照射し、その熱で金属を一時的に溶かして固める方法です。高密度のエネルギーをピンポイントで当てることができるため、短時間で加工が完了します。熱による歪みが少なく、薄い金属板の溶接にも適しているでしょう。自動車部品や電子機器の製造など、精度と耐久性が求められる場面で活用されています。
はんだ付け加工|小型部品にも対応可能
はんだ付け加工は、レーザーの熱で溶かしたはんだを使って金属同士を接合する方法です。局所的に熱を加えられるため、小型で繊細な電子部品の接合にも向いています。部品全体を加熱するリフロー方式と比べて、熱の影響が少なく、部品への負担を抑えながら確実に接合できます。安定した品質を保ちながら、高密度化する電子機器の生産に欠かせない技術です。
金属の種類で変わる!最適なレーザー刻印の選び方
金属への刻印は、素材の特性によって最適な加工方法が異なります。たとえば、表面を傷つけたくない場合は熱だけで酸化膜をつくる黒色印字が適しており、光沢を活かしたい場合は表面を細かく削る白色印字が向いているでしょう。なお、レーザー刻印機の詳細についてはメーカーによって推奨する種類や名前が異なるので、各メーカーの詳細ページを確認してください。このように、金属の種類や用途に合わせて印字方法を選ぶことが、仕上がりと品質を高めるポイントです。